日本でまったく報道されていない話が英国の主要新聞に載っていた。
テレグラフ紙オリンピック取材チーム・リーダーのクリス•ウィルソン記者によると、8月5日、高飛び込み予選に臨んでいた英選手トム•デイリーは、競技の開始を前にせっせと友達の愛犬用にセーターを編んでいた。彼の編み物趣味は、シンクロナイズダイビング10mで金メダルを受賞して以来、「飛び込み王子は編み物王子」として日本でも大いに注目を集めてきた。
そのトムの前に数名の日本人大会関係者が現れて、「この子にマフラーを巻いたらかわいいと思いませんか?」と言ってペンギンのぬいぐるみを差し出したというのだ。
気軽にOKしたトムを見たウィルソン記者は驚いた。「オリンピックでの本番直前に、エリート選手にこんなリクエストをしたらなんと答えるか、想像はできても、紙面に書けたものではない。でもトムは普通のエリート選手ではないのだ」。
緑とピンクの毛糸にさっと変え、競技の間に小さなマフラーを編み上げたと言うのだ。ダイブ、ニット、ダイブ、ニット(飛び込んでは編み、飛び込んでは編む)の繰り返しだったと記事は伝えている。トムは予選を4位で堂々通過し、ペンギンの首にマフラーを巻くと颯爽と選手村に戻っていった。
主要新聞のひとつに掲載された記事であり、根拠のない話とは思えない。しかしなぜこのペンギンの話が日本で報道されていないのか(8月6日現在)は不明だ。ほかにやることがあったはずの「大会関係者」からの個人的なお願いだったから?
トムのインスタグラムページに出ている写真には、予選当日に緑とピンクの毛糸を使って編んでいるようすが写っているのだが、ここにもそれらしき説明はない。それに、これはぬいぐるみ用のマフラーにしては大きすぎるし、謎は深まるばかりだ。
コロナ禍のロックダウンから編み物を始め、すっかりハマったというトムのおかげで、本国の英国では編み物ブームが起こっている。オリンピックが始まって以来、毛糸や編み物ツールが25%も売り上げ増を記録しているそうだ。

この大会を記念して刺繍で「東京」とつけた自作のカーディガン インスタグラム @madewithlovebytomdalyより
8月5日の高跳び会場にいて、トムがペンギン用 マフラーを編んでいるところを目撃した人がいたらぜひコメントを。