10月7日、ガザ地域を実行支配するイスラム組織ハマスによる、イスラエル奇襲攻撃。その後、事態は文字通り、分単位で刻々と変わっている。
まるで、ロシアによるウクライナ侵攻が突然始まった後の数日、数か月のことを、改めて目の当たりにしているようなすさまじい展開の早さだ。
一方、日本での報道は、ロイターなどの通信社からの二次情報ばかりで、半日から1日遅れーー。
インターネットを介して流されるリベラル系メディアでさえも、「欧米」の情報として伝えるのは、CNNとBBCばかり。
イスラエル・パレスティナ問題は、言ってみれば20世紀初頭に英国の三枚舌政治がきっかけとなったのだから、英国は当事者中の当事者。
世界のユダヤ人人口の4割を抱え、ユダヤ人票が政府を揺さぶる米国が、英国と同様イスラエル贔屓なのは明白。どうせ二次情報なら、せめて異なる視座の報道機関も追ってみてはどうだろう。
英米メディアに対し、ナチスのホロコーストという負い目を持ち続けるドイツ、イスラム教国を植民地としてきた経緯から自国内にアラブ系移民を大量に抱えるフランス、長らくイスラム王朝下にあった国やイスラム教徒と共存してきた国など、ヨーロッパ内でも立場は英米とは極めて異なる。
せめても、CNNとBBCを元ネタにするなら、「欧米メディア」とは言わずに「英・米メディア」というべきだし、アルジャジーラだって英語放送があるのだから、「英語」での別のニュースソースもはいくらでもあって、CNNとBBCだけを頼りに「欧米」とか「西側」とか総括してしまうのはいかがなものか。
前線に大量の気骨あるジャーナリストを送り、とぎれとぎれでもガザ側の現地記者や学者、人道支援組織の現地スタッフを捕まえて、核心に満ちた報道を続けているのは、何もCNNとBBCばかりではない。ドイツの公共放送DWも、フランスの国営放送France24も、アルジャジーラも、インドのWIONも… むしろ、主要先進国では日本がやっていないだけのようなものなのだから。
日本の一次報道不足と情報の遅さもさることながら、国際政治の場での、日本の影の薄さはどうだろう。米バイデンも、英スナクも現地入りしたが、EUからだってフォン・デア・ライエンも、ミシェルも、イスラエルの自己防衛を支持してはいても、緊急の人道支援の必要性を連日必死で訴え続けている。ロシアのプーチンや、中国の習近平でさえも、また、ブラジルのルーラだって、停戦仲介案を入れ替わり提案しているというのに、安保理の非常任委員国のわが国の影は薄すぎる。世界が一大事だというのに、首相も外務大臣も、官僚が書いた作文をそのまま読み上げ、報道は超内向きの政局ニュースにあけくれている。
世界中の諸都市で、数千、数万という単位の市民たちが、連帯して行動を起こしているというのに、日本では共感して立ち上がる人が百人単位しかというのも寂しい。近い将来、万一にも、日本近郊で有事が起こってしまったら、どれだけの人が共感して立ち上がってくれるのかと考えると、背筋が冷たくなる。
さて、今日EU主要機関の集まるブリュッセルで、アラブ18か国の大使が集まって共同記者会見があった。求めることは3つ。まずは、即刻停戦。次にエッセンシャル物資の人道支援、その上で、持続可能な解決案を「国際社会」が皆で取り組んでほしいと。
集まったイスラム教国ですら、集まった大使18人のうち、女性が3人ーー。女性大臣5人、副大臣・政務官には女性ゼロの我が国のことを、ふと思いだした…。
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祈りを込めて 「母たちの祈り」by Women Wage Peace 歌:イスラエル人歌手 Yael Deckelbaum