各国では結婚後の姓はどうなるのか?この実用的で文化的な問いに世界7カ国のジャーナリストが答えた『夫婦別姓-家族と多様性の各国事情』(https://onl.tw/2b6y89y)が11月8日に筑摩書房から出版された。
世界の夫婦の姓のルールはカラフル!同姓、別姓、連結姓から創作姓、気軽にいつでもネットで変更できる国から結婚しても一生変わらない国まで多様だ。ただ、どこも女性が独立した出生姓を維持する選択肢がある点だけは共通している。
同書は姓のルールがそれぞれの国で変化・発展していったご当地の理由と背景、更には「じゃ、子どもの姓はどうしているの?」という応用問題、ぐっと身近な「日本の夫婦別姓議論はどうなっているんかい?」までを幅広くコンパクトに扱っている。姓名に関する「へえ」がいっぱいだ。
筆者の最大の「へえ」は文化的土壌がまるで違う欧米(キリスト教社会)と東洋(儒教社会)で「幼いうちは父に従い、嫁しては夫に従え」という封建的家父長制が瓜二つで存在し、それが割と近年まで一世を風靡していたことだ。
また、社会的に夫に吸収合併され一体化していた女性が政治や経済、アイデンティティ面で独立し始めると、西洋でも「家族や社会の価値観への脅威」という(今日の日本でよく聞く)憂慮が跋扈する。しかし、時代は急速に変化し、他国では多様な姓に発展したのは本書に書かれている通りだ。女性の変化を恐れ嫌う声が時空を超えてかくもそっくりなのには驚いた。
最後に、同書の著者たちはいずれも20年以上世界各国の現地社会に太い根を張り、その社会の内側で暮らしてきた人びとで、年季が違う。彼女らがいざなう7カ国を巡るエッセイ集としても多彩な味わいが楽しめる。
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