ドイツ北部のハノーファーに、毛糸の蝶々が出現した。ロータリーの真ん中にすっくと立つ一本の木に、色鮮やかな毛糸の蝶々がまとわりついている。芝生を囲う柵にも蝶々が踊り、その数は3000にのぼる。道ゆく人が自然に笑顔となり、子どもたちが遊ぶ光景が見られた。
数年前から有志により、毛糸の編み物で街灯の柱を覆ったり、自転車を飾るなどストリートアート的な活動がドイツ全土で広まっている。今回は「コロナに対するホットスポット」と銘打ち、春らしい蝶々となった。「希望、期待、連帯を広めよう」と説明書きがある。
ドイツでは12月半ばから4か月に渡るロックダウンが続いており、モノトーンな毎日に飽き飽きする。けれど蝶々を見て春の訪れを感じ、ほっと和んだ。コロナ禍では、こうしたちょっとしたできごとが日々に彩りを添えてくれる。蝶々は5月、別の街に飛び立つらしい。