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Home 特集 世界コロナ日誌

ネパール:コロナ感染爆発、独特の驚きの事情

奥田良胤 / OKUDA, Ryouin by 奥田良胤 / OKUDA, Ryouin
4年 ago
in 世界コロナ日誌
ネパール:コロナ感染爆発、独特の驚きの事情

ネパールとインドの国境、買い物や通勤などで行き来が自由に行われる。©Tomoki Nobuhara

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世界コロナ日誌第33回はネパール。インドでのコロナ感染爆発の後、その波が隣国ネパールにも広がっていることは伝えられてきたが、貴重な現場からのレポートを届ける。国際ジャーナリスト協会東京フリーランスユニオン会員であるカトマンズ在住9年目の延原智己氏からの特別寄稿である。

~~~

ネパールの今

ネパールは、新型コロナウィルスの「第三波」の大波を超えつつある。インドから地理的に離れた日本でも、国内で「インド変異株」関連のニュースを連日耳にする。国境がインドと接し、地元住民の行き来が自由なネパールでは、感染源のほとんどがインド由来と見られている。これまでに人口3000万人の小国ネパールで61万人が感染し、8500人が犠牲になっている。とはいえ、この数字も氷山の一角に過ぎず、政府発表の犠牲者数を鵜呑みにすることはできない。というのもカトマンズ郊外にある世界遺産パシュパティナート寺院には、連日、政府発表の犠牲者数を上回る遺体が運び込まれ、火葬されている様子が見られているからだ。ネパールで感染が爆発している要因を、ネパール在住9年目の筆者が探ってみた。

「ターメリックでコロナに勝つ!?」根拠なき首相の発言

コロナ対策には正しい知識とそれに基づく行動が不可欠と言われている。そんな中、科学的に根拠のない首相の発言が国民を混乱させる事態が起きた。ネパールのオリ首相は「ウコンは薬だ。…ネパール人は毎日の食事でウコンなどのスパイスを食べているので免疫が高い」などと発言した。(注:「インドあたりを原産とするショウガ科の植物で、料理のスパイスや染料として、また伝統医療で重用される。洋名ターメリック」)

「ネパール人は他国に比べて免疫力が強い」などと根拠のない発言を繰り返すネパールのK. P. シャルマ・オリ首相
©︎Naresh khadka

実際にネパールでは、ダルバートという料理を毎日食べて、日々、様々なスパイスを摂っている。とはいえ、新型コロナウィルス対策に、それらスパイスの効果があるという科学的な根拠は無論ない。他の政府要人もオリ首相同様に、「白湯を飲むと良い」など根拠のないコロナ対策を勧めて国民を混乱させた。。ネパール人の中には、ウコンをお茶にして飲むなど、民間療法で予防できると考える人がいまだにいる。新型コロナウィルスを「ただの風邪」と軽く見る傾向もあり、危険性を十分に理解していない人が多いのが実情だ。このように、ネパールで感染が爆発している一つの要因として、国民がコロナを正しく理解していないことが考えられる。

人との近い距離感が魅力のネパール、コロナ禍では仇に

旅行などでネパールを訪れたことのある人が、まず初めに驚くことは、ネパール人の人との距離感の近さだ。非常にフレンドリーで、人が大好きな国民性のため、初対面でもすぐに旧友のような仲になれるのは、この国の魅力の一つだと感じる。数回会っただけでも自分の家族のように接してくれ、なんともいえない温もりを感じる。公共の乗り物にも、ひしめき合って乗ることになんの抵抗もない。行列に並ぶ時には、後ろの人のお腹が自分の背中に当たっていることもしばしばだ。

そんなネパールでは、ソーシャルディスタンスを取るというコロナ対策の基本すら課題となる。ネパール人にとって、親戚はもとより、近隣の住民、同じ村に住んでいる人々も、彼らにとって家族同然と考える傾向がある。それで「家族以外との接触は最小限に」との、政府からのアナウンスを厳格に守るのは難しいようだ。実際に辺境の村でクラスターが多く発生している。葬式となれば、親戚、村人が集まり3密が発生し、そこでクラスターがまた起こるという悪循環が生まれる。現在、ネパール全土でロックダウン (都市封鎖) が行われているが、小さなコミュニティーの中で感染が広がっている実態がある。カトマンズなどの都市部では、地方部に比べれば人との繋がりが希薄になりつつある。しかし、日本に比べれば何をするにも密は避けられない。平時では魅力的なネパール人の国民性が、コロナ禍では仇となっているようだ。

ロックダウン中でも、活気があるカトマンズ郊外の街
©︎Naresh khadka

自宅隔離の意味とは

地元の報道では「ネパールの医療はすでに崩壊しており、酸素吸入装置や医薬品が足りていない」と伝えられている。ネパール山岳協会 (NMA) は、登山者に対して、登山のために使用する酸素ボンベを、山から持ち帰って来る様に要請している。登山用の酸素ボンベを、医療用酸素に転用し、逼迫する需要に応えようとしているのだ。ネパール政府も国民向けに「病院の受け入れ態勢が無いので来院しないように。自宅隔離をするように」とアナウンスしている。それで、コロナ感染症が疑われる症状が出たとしても、病院に行き、PCR検査を受け、適切な治療を受けることができなくなっている。前述のように、ネパールの感染者数の政府発表を鵜呑みにできない理由はここにもある。貧しい家庭では、一つの部屋で家族全員が暮らしていることも少なくないため、自宅隔離により家族に感染を広げることにもなっている。

ネパール独特の医療システムがコロナを広める

タイミングよく入院できたとしても、そこには別の危険が潜んでいる。ネパール独特の医療システムである。日本では、いわゆる完全看護で、患者が1人で来院し治療を受けられる体制が整っている。一方、ネパールでは、一部の高級な私立病院を除き、そのような体制が整っていない。コロナウィルス感染症が疑われ、病院が受け入れてくれることになったとしても、患者は付き添い人を連れて来院することになる。公立の病院では、付き添い人が事前に会計を済ませる必要がある。その後、医者から指示された薬や、治療で使用する注射器などの医療用品も、付き添い人が近くの薬局で調達しなければならない。看護体制が整っていないため、コロナ疑いがある場合でも例外はない。コロナ感染病棟といえども、付き添い人が薬や酸素ボンベを調達するために行き来している。何人かが入れ替わりで付き添い、夜は患者の隣の簡易ベッドか床で、万が一に備える。お察しの通り、このような環境で付き添い人の安全が守られることなどなく、感染がさらに広がることになる。

では私立病院に入院できる余裕のある人は安心かというと、そうとも言えない。医療事故とその隠蔽が日常茶飯事のネパールでは、患者やその家族が医者を信頼していない場合が多い。先進国並みの完全隔離できる病棟を備えた高級な病院の場合、患者家族は、医者がどんな治療をしているのか直接見ることができずに不安になるようだ。実際に筆者も経験したことだが、患者に説明なく、医者の独断で治療を始めることがある。その後、容態が悪化しても無責任な対応をされることも少なくないそのため、患者の家族が気が気でないのは容易に想像できる。このような、整っていない医療体制も、コロナ感染爆発を阻止できないどころか、悪化させる要因となっていると考えられる。

誤診により、手遅れになる事態も

ネパールでは日本のコンビニのように至る所に薬局がある。軽い体調不良の場合は、薬局の薬剤師に相談し、必要な薬や簡単な治療を受けるのが一般的になっている。特に地方では病院施設が多くないため、この薬局や小さな診療所が地域医療の要となっている。日本の薬剤師よりも権限が広く、薬局に併設された簡易ベッドで点滴を受けることもできる。売り上げを増やすことに必死な薬剤師が、不必要な薬を売りつけてくることもあるので注意が必要だが、基本的には頼りになる便利な場所だ。このように薬剤師に相談することが一般的なネパールでは、コロナ感染症の疑いの症状が出た人も薬局を訪れて相談することが多々ある。しかし、そこで誤診されるケースが今問題となっている。発熱や倦怠感など、腸チフスと症状が似ているため誤診され、適切な治療を受けられないケースが、最近、頻発している。パタン病院のブッダ・バスニャット医師は「(コロナ患者に)腸チフスの原因菌と戦う抗生物質が処方されることがあり、それが原因で数日以内に重症化してしまう。…これが最近のコロナ感染者が亡くなる背景にある理由だ」とも語っている。

インド製のジェネリック薬品がズラリと並ぶ薬局で、治療を行う薬剤師
©︎Naresh khadka

終わりに

医療関係者、国民共に正確な知識に基づいて対策をしてゆく必要を強く感じる。最近では各国からの援助を受けて、ワクチン接種が都市部を中心に始まってきている。しかし、接種は基本的に“早い者勝ち”で、予約などもないため混乱している。なんとしても集団免疫を得られるレベルまで、ワクチン接種が進んでゆくことを願うのみだ。コロナ以前のように、ネパールならではの人との距離感の近さを純粋に楽しめる日が、一刻も早く訪れることを願ってやまない。

~~~

<寄稿者プロフィール>

延原智己/Tomoki NOBUHARA

フリーランス・ジャーナリスト。取材・撮影コーディネーター。トリブバン大学でネパール語を学ぶ。ネパール・カトマンズ在住。IFJ・Japanフリーランスユニオン会員

**この記事は、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)東京フリーランスユニオン代表奥田良胤氏のご仲介で、SpeakUp Overseasにて掲載発表された。

Tags: Covid-19インドコロナネパール
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1939年生まれ。NHK記者、日本放送労働組合委員長、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)東京事務所代表、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)アドバイザー(1995年~2004年)を経て、現在、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)東京フリーランスユニオン代表、IFJ会員・フリーランスジャーナリスト。主とするテーマは「メディアと人権」。

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