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Home 特集 Z世代へのバトン

バトンを受けて「みんな」でゆっくり走る

田中聖香 / TANAKA, Mika by 田中聖香 / TANAKA, Mika
3年 ago
in Z世代へのバトン
バトンを受けて「みんな」でゆっくり走る

リレーランナーのブロンズ像 Deutsche Hochschule für Körperkultur/DHfK Leipzig By TheRevolzer - Own work, CC BY-SA 3.0

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興味深いテーマーー実は私も同じような問題について、この10年くらいずっと考えてきた。従来の社会運営モデルでは、これからの世界も地球も立ち行かないということ。

私は、20世紀の人間の営みが、地球環境だけではなくて、人間の心もまた荒廃させたと感じている。科学の発展や社会の近代化は人間に多くの物質的恩恵をもたらしたけれど、個の充足が重視されすぎて他者が二の次になった結果、「公共」という概念が薄れ、社会全体としては幸せでなくなった。社会のウェルビーイングなくして、その中で生きる自分は本当に幸せと言えるのだろうか。そんなふうに考えるようになった。

個の充足の果てに

資本主義にもとづく経済活動は、原則的には一個人や一企業の富の増大を目的にしている。西側社会の大多数の人にとって、個の充足とは、経済活動によって生み出された個人の富の蓄積と、消費から得られる満足とによって実現してきた。その単位はあくまでも「自分」であり、「自分の家族」であり、「自分の会社」だった。

でも、経済成長の前提に競争原理がある限り、自分の幸福は必ずしも他者の幸福ではない。むしろ、他者を排斥したり搾取したりする行為と同義になりがちだった。これまで政治のお題目を除けば、「みんなが」並行して充足するという目的を、個人が真剣に考えることは少なかったのではないかな。

私がここで「みんな」と表現しているのは、家族や会社の単位を超えた地域全体であり、一国全体であり、そして世界全体、さらには地球全体のこと。21世紀も20年を経過した今、小さな地域内にも貧富や教育水準の格差が存在し、国々は先進国と発展途上国に分かれ、自然環境は人間に反旗を翻している。

米国西部で年々多発する山火事 By U.S. Fish and Wildlife Service Public Domain

世界は極端な不調和と不均衡の中にある。経済成長の恩恵を最も享受している先進国でさえ、物質的には充足していても、ストレスや疎外感で心を病んでいる人たちが増えている。一方、発展途上国では劣悪なインフラに耐え、最低限の医療さえ受けられない人たちがいる。人工知能まで生み出した人類の文明の恩恵が、ごく一部の先進国の住民にだけ還元され、地球上に公平に行き渡っていない。

グローバル化とインターネットが実現する一方で、私たちは国家間の対立、地域紛争、南北格差、貧困、飢餓、人身売買、犯罪の凶悪化、難民問題、ヘイトスピーチ、ネット犯罪など、世界の不協和音が強まっていくのも目撃してきた。エゴイズム、猜疑心、憎しみ、偏見と孤独が世界中にあふれている。人間にとって真の幸福とは何か。私たちが当然と思い込んでいた社会の仕組みが、実は不備の多いものだったのではないか、または時代の進展とともに綻んできたのではないか。いま、そんなことを感じている人が多いのではないだろうか。

フランス北部北海沿いに陣取り、密航業者に大枚を払って英国への危険な渡航を試みる難民たち 
By VOA- Nicolas Pinault – VOA News (http://www.voanews.com/media/photogallery/voa-africa-with-migrants-in-calais-jungle/3017139.html), Public Domain

全体のウェルビーングを求めて

もちろん、社会の諸問題を一朝一夕に解決することはできない。しかし、壊れてしまった地球と、疲弊し袋小路にはまった人間とを、少しでも良い方向へと導くために、社会運営の新しいフレームワークを探ることはできるはず。

強調しておきたいのは、私は決して「個を捨てるべきだ」と主張しているのではないということ。むしろ、個の充足が保証されることは非常に重要だと思う。人間は土壇場になれば必ず、まず自分の命や自分の利益を本能的に優先する生き物であることは間違いない。でも、人間が生きられるのは、生存環境が正常に機能してこそであり、人間の存在意義もまた、社会という枠組みの中でこそ生まれる。だから、他者の不幸の上に成り立つ豊かさは、真の豊かさとは言えないと思う。

では、どのようにマインドセットをするべきなのか。ある程度の個の充足が得られた時点で、それを拡大再生産する代わりに、他者への配慮へと視点を切り替え、全体のウェルビーイングを意識してこそ、バランスのとれた幸せな社会に一歩近くことになるのではないだろうか。

個と全体がせめぎあうヨーロッパの日常

振り返れば、私が「個人と全体」というテーマを強く意識するようになったのは、ヨーロッパで暮らし始めてからのこと。ドイツに30年間住む中で、個人と全体がせめぎあう場面を、日常生活で、仕事の中で、政治の舞台で、そして街の路上で繰り返し体験してきた。それが私のアンテナを鋭くしていった。

ドイツだけでなく欧州全体に共通するのは、何事にも自分の意見を持ち、それを明確に相手に伝える能力が重要視されることだと思う。その原則は学校教育にも反映されるので、自己主張のできる大人が育っていく。一人ひとりの主張は必ずしも常にフェアではなく、議論が感情的にエスカレートすることもある。でも、原則的には誰もが異なる意見を持って当然という共通理解があり、意見の相違が個人攻撃に発展することは少ない。議論のあと、異なる見解を自分なりにレビューし、内心で意見を修正したりもする。ヨーロッパでの社交は、自分と他者の意見が同等に尊重されるべきという民主主義の原則を、絶え間なく実践する場となっていると感じる。

難民排斥の激しい運動ばかりが誇張されるが、欧州では難民を前向きに受け入れようとの声が若い世代からも上がることは日本ではあまり伝えられない 
By VolkshilfeÖsterreich – Own work, CC BY-SA 4.0

こうして公共の場で様々な見解が繰り返し検証される中で、その時点での最大公約数が生まれ、社会が社会全体の目的に向かって、少しずつ前に進んで行っているはず。自分が尊重されているという実感があれば、市民は法治国家のルールに納得して従い、自分の責任でリスクも引き受ける。事実、私はこの地で、かなりエキセントリックな意見信条の人たちが、異端者扱いされず、それなりに社会に受容されているのを見てきた。昨年政権入りした緑の党さえ、40年前の創立当時は完全なオルタナティブだったのを忘れるべきではない。

個人と全体のせめぎあいのヨーロッパ文化は、ときには個人にとって一時的な不利益をもたらし、社会全体にとっても効率や生産性の低下につながることもある。でも、個が犠牲にされていない以 上、社会全体としての⻑期的な幸福度は上がっているのではないか。その意味でEU(欧州連合)は、個人と全体の関係調整のメカニズムを、一国と西欧全体という次元に引き上げて運用している壮大なチャレンジといえる。

いろいろな観点から真の豊かさを探る

このシリーズで、個人と全体両方の豊かさの追求において、恐らくは世界の少し先を走るヨーロッパから、多くの具体的なプロジェクトを紹介していきたい。新しい社会の創生に最も重要な生物環境の回復はもちろん、ビジネスや地域再生などいろいろな分野で、画期的な取り組みが次々と生まれている。その際のキーワードは「共存」と「包摂」だろうか。国籍、世代、性別、宗教などにおいて、従来は絶対視されていた差異や対立を相対化すること。そして、全体の充足に向けて舵取りを試みること。それは既成の制度や価値観を壊すというよりむしろ、柔らかく切り崩していくような営みだと思う。

エルサレムの嘆きの壁は、ユダヤ教徒にとっても、イスラム教徒にとっても神聖な場所--悲劇は繰り返される 
By StateofIsrael – Jerusalem, CC BY-SA 2.0

私は一人で粛々と意識改革を行い、それを等身大で行動に移して、共鳴者を増やしていった人たちに出会ってきた。たとえば、貨幣経済に疑問を呈し、あえてお金を持たずに生活する実験を5年間続けたラファエル・ファルマー。循環経済の具体的な運用モデルを構築して企業に導入する活動を1990年代に始めていたミヒャエル・ブラウンガルト。イスラム原理主義者から脅迫されても、強制結婚を逃れてきた少女たちを支援し続ける人権活動家のセラップ・チレリ。私は彼らとの対話に鼓舞されてきた。メディアに登場する著名人だけではない。私が住む小さな村にも、紛争地域から難民としてドイツに逃れてきた子供たちを進んで引き取る里親たちが、さりげなく暮らしていたりする。

ラファエル・ファルマー AVE Digital, CC BY 3.0

彼らに共通しているのは、自分だけでなく一人でも多くの他人が自分と一緒に幸せになることを強く願う気持ちだ。そして、その実現が自分にとっても真の豊かさだと信じている。彼らのメッセージを通して、ポストコロナの新しい社会の可能性と、そこに託す私たちの希望とが少しずつ見えてくることを願う。

Tags: Z世代人新世民主主義脱成長資本主義
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田中聖香 / TANAKA, Mika

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在独ジャーナリスト。愛知県生まれ。関西学院大学文学部卒、ロンドン・スクール・オブ・ジャーナリズム修了。1992年からドイツ在住。ドイツ社会をテーマに執筆、インタビュー記事を得意とする。共著に『世界で広がる脱原発』。「国際ジャーナリスト連盟 」会員。

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