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Home 特集 Z世代へのバトン

デンマークから学ぶ――前編: ストーブも湯沸かし器もない北国

栗田路子 / KURITA, Michiko by 栗田路子 / KURITA, Michiko
1年 ago
in Z世代へのバトン
デンマークから学ぶ――前編: ストーブも湯沸かし器もない北国

コペンハーゲン郊外のコジェネ(熱電)供給施設

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欧州の隣国、ドイツのすぐ北に位置するデンマーク。

EU加盟国でもユーロを採用せず、2015年の大量難民流入や2020年のコロナ禍などの危機には冷静で強い連帯を見せてきた一方、冷淡と思わせるほど決然とした移民政策を決めてしまう国でもある。

EUは、世界的には「野心的」とされる基本戦略「欧州グリーンディール」で、2030年までに炭素排出55%削減(1990年水準比較)、50年までに「気候中立な大陸」を目指すと宣言した。そんな中、デンマークは、国を構成する主要な島のいくつかですでに全消費電力の再エネ転換を達成。現在稼働中の石炭火力発電所も2030年までには段階的に停止し、2035年までに電気・熱の両方を再生可能エネルギーで100%供給する独自の目標を着々と実現しつつある。

同時に、民主的な合意形成手法とその実践で近年注目されてきた国でもある。かねてから、興味を持ってきたこの小国に住む友人を訪ね、現地感満載の数日を過ごした。その経験を元に、Z世代へ伝えたい気づきを書き残してみようと思う。

北国なのに家には暖房器具がない!?

デンマークは、EU加盟国の中でも、優等生的に再エネ転換が進んでいることは知っていた。車でドイツからデンマーク・ロラン島を抜けて北上すると、洋上にも陸にもかなりの数の巨大な風車が立ち並び、農地や空き地には太陽光パネルが広がっているのが見えた(それぞれ600基、4200基超で、電力消費量の半分を発電)。

日本から来た人なら、それだけでも驚嘆するかもしれないが、こうした風車や太陽光パネルの風景は、今では近隣欧州諸国では、どこでも見られるので、これだけではデンマークのすごさは見えにくい。

2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、欧州では日本とはくらべものにならない暴力的なエネルギー高騰が始まった。これまで暖房や給湯をロシアの天然ガスに依存してきたベルギーの我が家では、電気代3倍、ガス代5倍というエネルギー供給会社の知らせに慄いて、22年夏に太陽光パネル26枚と3基のヒートポンプを取り付けて自家発電で自衛せざるをえなくなった。

あまりのエネルギー価格高騰で、覚悟を決めて太陽光パネルとヒートポンプで自衛した ©Michiko Kurita

ベルギーよりさらに北に位置するデンマークは、雪はそれほどではないとはいうが、長い冬の間、空は厚い雲に覆われ、ベルギー同様かそれ以上に、冬の寒さや暗さは相当であることは容易に想像できる。

「給湯や暖房は何でしてるの?」

再エネによる電気暖房――という答えを予想していた私は度肝を抜かれてしまった。

地方自治体の施設から、断熱された管を通って供給される「温水」で給湯と暖房を賄っているというからだ。

つまり各家には、暖房機器も湯沸かし器もいらない…?!注 管を通して流れてくる高温の水(約70℃)が、家に取り付けられたラジエータの中をめぐって部屋を暖め、家庭用熱交換器で冷水から暖められた温水が、キッチンや風呂場で、蛇口をひねると出てくるというのだ。

欧州はだいたい皆同じもの、と高をくくって、デンマークのこの地域熱供給のことは全く知らなかったので、目を見開いてしまったが、そういえば、韓国にはオンドルという床暖房がある。それに、かつての共産圏では、自治体ごとの熱湯供給を効率化するために、半強制的に都市の団地へ移住させられた話を聞いたことがある。ただ、当時のエネルギー源は木炭や化石燃料だったし、断熱管の効率が悪すぎて快適にはほど遠かったと聞いたことを思い出した。

友人の車で移動中、彼女の息子が「うんち発電所」と呼ぶ自治体のエネルギー施設の横を通った。そこには、浄水場、ゴミ焼却場、そして、広々とした周辺には、太陽光パネルが整然と並んでいた。

通りすぎた道端にあった地域の浄水処理・焼却・発電施設 ©Michiko KURITA

少し調べてみると、いろいろわかってきた。

デンマークがこうした地域熱供給システムを導入し始めたのは、エネルギー危機も気候危機も問題になる以前の、今から100年も前のことだったらしい。ゴミ焼却場の排熱を自治体施設や地域の病院などに供給するというもので、日本でも、今日では、焼却熱の再利用はいろいろ例があるようだ。だが、デンマークが「すごい」のは、すでに第二次大戦前に、首都圏や地方自治体のいくつかが、地域の世帯への温水供給を進めていった点だ。

70年代にオイルショックが起こると、デンマークも「原子力」に手を出すかどうかの決断を迫られた。当時、デンマークは中東からの原油に頼っており、電力自給率は5%以下。小さな島国で、周りは歴史的に敵対してきた列強だ。エネルギー自給とエネルギー安保は国にとっての重要な課題だった。

国と電力会社が原発に舵を取るしか方法はないとの立場をとる中、市民の間で、原発についてもっときちんと勉強し議論すべきだとの声が高まり、市民団体原子力発電情報協会(OOA)が立ち上がった。折しもスリーマイル島で原発事故(79年)が起こり、世論は急速に原発反対へ。チェルノブイリ事故(86年)の前年には、原発を建設しない方針が固まった。近郊海域での海底油田の発掘などに助けられもしたが、デンマークはついぞ一度も原発に手を染めず、欧州諸国の中でも、独自のエネルギー政策に舵を切ったのだった。

すでに、第二次大戦直後には、石油などの化石資源を用いたコジェネ(発電の際に出る熱を捨てずに電気と熱の両方を利用するやり方)を始めていたデンマークでは、石油危機以降は、工場などでの排熱利用はもちろんのこと、代替燃料として、自国で調達できる石炭や北海ガス田からの天然ガス、それに木片、わらなどのバイオマス燃料も用いられるようになり、各家庭や集合住宅は、個別ボイラーや暖房器具から、地域暖房・地域給湯)へと、急速に移行していったのだそうだ。

下水道からの浄水残滓も、ここでコジェネ燃料として利用されるから、「うんち発電所」というのはあながち間違いではない。今日的には、どんな廃棄物も、リユーズ・リサイクルしたり、堆肥化したりすることが奨励されてはいるが、家畜の糞尿や食糧残滓も含め、最終的なゴミは焼却されて、熱電供給に使われる。15年のデータだが、デンマークでは年間約 300 万トン の廃棄物を焼却し、それによって、電力消費量の約 4%、暖房と給湯の約 23%を賄うことができていたという。

大小さまざまな島から成る小国で、資源に乏しい点でもデンマークは日本と似ている。違うのは、だからこそ、早くも12~13世紀には、「風」こそが自前で供給できる貴重な動力だということに気づき、低い農地の排水や穀物を挽くために活用し、その社会資産を権力者ではなく庶民のものとしていく民主的な考え方が培われ、進化していったということではないか――。

日本では大電力会社が、巨大な発電所を作り、多くの熱は捨てられている。小さくて平らなデンマークには風力や太陽光などなどの小規模な発電所が国中にちらばり、熱電供給で効率よく市民の生活を支えている。

北国の冬は長く暗く寒い。暖房と給湯が得られることは、健康で文化的生活を営む必須条件として、お金持ちも貧乏でも、平等に持つ基本的人権の一つ、民主主義の基本のはずだと気づいてはっとした。「誰一人取り残しはしない」とはこういうことではなかったか。

水道やゴミ処理までを営利目的の私企業に任せて近視眼的な利潤を求める「新自由主義」的風潮が世界中に蔓延する今日。

政府が決めたことだからしかたがない、国が決めたらどうにもならないと受け入れてぶーたれるのではなく、エネルギーや暖房のようなみんなのためのものに関しては、市民もがっつり関わって、共に考え、議論し、一緒に決めていける国があることを目の当たりにした。

ストーブや湯沸かし器なしで、お金持ちでも、貧しくても、誰の家にも、平等に暖房とお湯があるという夢のようなことが、この平らな国の世界に誇る幸福度につながっていると感じた。

デンマークから学ぶー中編:共同住居エコヴィレッジは持続可能?に続く。

合わせて後編:民主主義を担う人間を育てるもぜひに。

注:地域によって、家主の好みで、あるいは、戸建てのかなり古い住宅の中には、今でも暖炉やストーブがある場合もある。首都圏近郊ではほぼ100%が地域熱供給となっている。

地域熱供給について、より詳しく知りたい方にお勧めのサイトはこちら

Tags: エコロジーデンマーク再エネ地域熱供給暖房給湯
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栗田路子 / KURITA, Michiko

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ライター・ジャーナリスト。 EU(欧州連合)の首都ブリュッセルを擁するベルギー在住20年余り。上智大学卒業。米国およびベルギーの経営大学院にてMBA取得。EUおよびベルギーの政治・社会事情(教育、環境、福祉など)を生活者の目線で発信中。著書に「コロナ対策 各国リーダーの通信簿」(共著・2021年1月・光文社新書)がある。 筆者ブログ/コーディネータースクラブ・ベルギー運営

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