既報した第16回米ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール。世界中から応募のあった388人の中から72人が予備審査(リサイタル)にチャレンジし、6月の本選に臨む30人が決定した。18歳から31歳の若手ピアニストで、唯一のウクライナ出身ピアニストであるドミトロ・チョ二氏(28歳)、そして日本の亀井聖矢氏(20歳)、吉見友貴氏(22歳)も予備審査を通過した。
この30人の出身国は、米国はもとより、ロシアや中国など米国と緊張関係にある国を含む合計14カ国。クライバーン財団のマルキースCEOは声明の中で「クライバーン財団は、アーチストのための文化団体。国籍や性別、人種によって、政治とは無関係のアーチストを差別することはない。こうした理想を掲げる世界中の音楽コミュニティと共に歩む」と述べている。
その上でウクライナ情勢について「クライバーンに関わる人の心は、ロシア政権から国を守るべく勇気をもって立ち向かうウクライナの人々とともにある」と締めくくった。
本選は6月2日から6月18日まで、テキサス州フォートワース市で行われる。2009年には全盲のピアニスト辻井伸行氏が、日本人で初の優勝を飾った。今年のコンクール本選に臨む亀井氏は、17歳の時に2019年に日本音楽コンクール「ピティナ・ピアノコンペティション特級」で優勝。また吉見氏は昨年のエリザベート王妃国際音楽コンクールのセミファイナリスト。
このコンクールの優勝者には、高額の優勝賞金だけでなく、副賞として世界各地でのコンサートツアーが用意されている。優勝者として世界中の人に素晴らしい音楽を届けることになるのは誰だろうか。
3月9日、ドミトロ・チョ二氏は「ロシアの音楽は大好きだし、これからも演奏するつもりとしながらも、「複雑です。ロシアの音楽家をすべて切り捨てることはできないから」と述べている。
チョ二氏は2021年のリーズ国際ピアノコンクールのファイナリスト。ビデオはその時のインタビュー