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Home 政治

米テキサス州の銃乱射事件が示す米国の病理

片瀬ケイ / KATASE, Kei by 片瀬ケイ / KATASE, Kei
6年 ago
in 政治, 社会・文化
米テキサス州の銃乱射事件が示す米国の病理
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メキシコ人が米国を侵略?

8月3日、米国テキサス州のエルパソで、銃乱射事件があった。21歳の容疑者は、AK47(カラシニコフ自動小銃)を手に、新学期前の買い物でにぎわうウォルマートに行き、駐車場そして店内で銃を乱射した。通報があってから5分後には警察が到着し、容疑者を拘束したが、すでに多くの被害者が出ていた。この事件で22人が死亡し、26人が負傷した。

21歳の容疑者は、筆者の住むダラス市北部の郊外、アレンという町の出身で、エルパソにゆかりはない。10時間以上も車を運転してエルパソを訪れたのは、「メキシコ人によるテキサスの侵略」を阻止すべく、「できる限り多くのメキシコ人を殺す」ことが目的だったという。

エルパソはメキシコ国境沿いの町で、このウォルマートには国境を隔てたメキシコのフアレス市からも大勢の買い物客がやってくる。家族や親戚がフアレスに住んでいる、あるいはフアレスに住んでエルパソで働いているといった人も多い。住民の85%がヒスパニックだ。

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白人至上主義に傾倒した若者

容疑者の両親は、セラピストの父親と、ホスピスで事務を担当する母親で、息子がメキシコ人や移民に対する増悪感情を膨らませていたことに気づかなかったようだ。両親は「息子の行動は、私たちの知らない人々によって、私たちが受け入れない、拒絶するような考えと信条に影響を受けていました。息子には、愛、やさしさ、尊敬、寛容を教えました。息子は人種差別や偏見、増悪や暴力は拒絶するよう教える家庭の中で育ったのです」という声明をだした。

容疑者が子供の頃は、アレン住民の8割が白人だったが、活発な経済を背景に州内外から様々な人が移り住み、白人の割合は今では5割をなんとか超える程度。

ワシントンポスト紙は、「環境が変化していく中で、容疑者はインターネットで知った『大規模置換(the Great Replacement)』と呼ばれる白人至上主義の陰謀論に心酔したのだろう」という、当局の推測を伝えている。この陰謀論は、ニュージーランドのモスク銃乱射事件など、他の銃乱射事件の犯人によっても引用されているものだ。

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大統領のウソとレトリック

トランプ大統領は選挙期間中から、メキシコ人のほとんどは「犯罪者」、「レイプ犯」で、「不法移民による侵略」から国を守るためにも、メキシコ国境に壁が必要と声高に主張し続けてきた。この3年あまり、トランプ氏の政治集会では、大統領がそうした発言するたびに、支持者が歓声をあげるといった場面が繰り返されてきた。

大統領のこうしたレトリックが市民の意識にも影響を与え、白人至上主義者の活動が活発化したと考える人も多い。

トランプ大統領は、国境の町エルパソについても、不法入国者が沢山いる危険な町だと発言し、地元から大きな反発を受けた経緯がある。実際、エルパソは米国の大都市の中でも、最も安全なトップ10都市に名を連ねてきたコミュニティだ。家族や地域社会の絆が非常に強い土地柄でもある。

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エルパソはトランプ大統領を歓迎しない

銃乱射事件の後、ヒスパニックや移民を敵視する言動を続けてきたトランプ大統領の訪問を、多くのエルパソ市民は歓迎しなかった。町では、トランプ大統領訪問の抗議集会が開かれた。病院を訪れた大統領との面会を受け入れた被害者も、たった一家族だけだった。

Trump

メラニア夫人に抱かれている乳児の両親も犠牲者となった。養親となる叔父・叔母(両側)は共和党支持者なのだという

 

銃乱射事件の被害者は、メラニア夫人の手に抱かれた生後2カ月の男の乳児だ。事件があった時、この子は両親とともにウォルマートにいて、両親が身を挺してかばったおかげで助かった。そしてその代償として、両親を失ってしまった。これからは、この写真の両脇に写る叔父、叔母の手で育てられることになる。

たった生後2カ月で、何もわからずにいる乳児の表情とは対照的に、トランプ大統領は大きな笑みを浮かべてサムズアップ(親指を立てるジェスチャー)している。メラニア夫人も、孤児になったばかりの乳児をまるで記念写真の小道具かのように抱え、カメラに向かって、にっこりとポーズを決めている。

この子が大人になった時に、満面の笑顔でカメラに顔を向ける大統領夫妻と一緒に写った写真をみて、一体、何を思うのだろう。

病院を訪れた時にも、トランプ大統領は医師らをねぎらう言葉も早々にきりあげて、その後は自分が数カ月前にエルパソで開いた集会にいかに多くの支持者が集まったか、そして、エルパソの元下院議員で、大統領に立候補しているべト・オローク氏の集会にはほんの少ししか人が集まらなかったという、いつもの「自分が一番すごい」という自慢話に明け暮れた。

This is viewer video of President @realDonaldTrump and @FLOTUS at @umcelpaso meeting with victims and medical staff. Send us any photos/videos of president Trump’s visit to #ElPaso and we may show it on TV. Upload here: https://t.co/UHa4MdGOH4 pic.twitter.com/DD5otJtYEg

— CBS4Local (@CBS4Local) August 8, 2019

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劣化し続ける米国

トランプ大統領は、他人に共感する能力を欠いたサイコパスだとしか思えない。どれだけ抗議集会を開こうとも、犠牲者の深い悲しみを目の前にしようとも、特定の集団を排斥するようなレトリックが危険であることを訴えようとも、大統領には理解できないのだとしたら、どうしたらいいのか。

今回の容疑者のように、精神的に未熟な若者たちが、白人至上主義などのヘイトグループの手に落ちないようにするにはどうしたらいいのか。来年の大統領選挙で政権交代がかなうことを待つしかないのか。

人種的な社会構成にせよ、産業構造にせよ、生活環境にせよ、変化を恐れる人や、変化に対して不満を持つ人はいる。しかし時代の変化は誰にも止めることはできない。国のリーダーである大統領には、未来に向かって国と市民を導いていく役目がある。

しかしトランプ大統領は、変化を恐れる人間心理の脆弱さを理解して利用することはできても、共感して寄り添い、変化に適応できるよう導く能力はないと思う。

変化に不満を抱く人たちに「移民など後からきたよそ者を排除して、昔の米国に戻せば豊かな暮らしができる」とあおるトランプ大統領のレトリックは、非現実的なばかりか、米国社会にとって危険でさえある。

市民の生活を想像し、共感することができず、自らの政治集会にどれだけ支持者を集められるか、得票数でどれだけ上回るかといった物差しでしか測らない大統領のもとで、さらに不幸な出来事が起きないことを祈るしかない。

 

トップ写真:Phil Roeder, licensed under the terms of the cc-by-2.0, during the March for Our Lives, March 24, 2018

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フリーランス・ライター、翻訳者。東京生まれ。神奈川大学スペイン語学科卒。東京都の行政専門紙の記者を8年勤めた後、1995年に渡米しカンザス大学でジャーナリズム修士号取得。カンザスシティ・パブリックTVを経て、在米の米系、日系企業に勤務。現在は米国人のミュージシャン兼業主夫とともに、テキサス州ダラス市に在住。米国の社会、経済事情等について様々なメディアに幅広く執筆。Yahoo!JAPANニュースのオーサーでもある。2021年1月に「コロナ対策 各国リーダーの通信簿」(共著・光文社新書)を出版。

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