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Home 社会・文化

ゲーテの時代、今むかし

田口理穂 / TAGUCHI, Riho by 田口理穂 / TAGUCHI, Riho
3日 ago
in 社会・文化
ゲーテの時代、今むかし

博物館「ゲーテハウス」の中の一室

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「ファウスト」でドイツを代表する作家ヨハン・ヴォルフカング・フォン・ゲーテ(1749年—1832年)の生家が、フランクフルトにある。空襲で焼け落ちたのを再建したもので、現在はフランクフルト・ゲーテハウスという博物館になっている。ゲーテが実際に使っていたものではないがその当時に作られた家具や調度品を配置し、いかにゲーテ一家が裕福で、名家であったかうかがわせる。 ゲーテと当時の生活に思いを馳せた。

ゲーテが生きた時代

18世紀は今と全く違う。重厚な石造りの建物に、がっしりした木の家具、繊細な金属細工。ここで花柄のカップでお茶を飲んだらどれほど優雅だろうかと思う。しかしタイムスリップしてここに住みたいか、と問われればたぶん答えはノーだろう。

客間には豪華なシャンデリアがきらめいているが、ろうそくの灯りでは今ほど明るくはなかっただろう。他の部屋や廊下にもろうそく立てがある。街灯はまだ一般的でなく、通りでは強盗が頻発していたという。その頃、安全のために街灯が建てられた。

当時最先端の台所

寒さをしのぐため、廊下や部屋の隅にある暖炉で薪を燃やして暖を取った。すぐ暖まるわけではなく、薪を追加したり、灰を片付けなければならず、手間がかかる。薪を持って来るのも一苦労だっただろう。

この家の台所では、水があった。つまり台所に地下から水を汲み上げる装置があり、これは当時としては画期的なことだった。ゲーテの家には、天井まで届くほど高い水汲みの設備が残っているが、庶民は通りにある水汲み場から汲んで来なければならなかった。庭にあるならともかく、自宅の建物内で水が汲めるのは例外中の例外であった。

料理はかまどで木切れを燃やして行われていたが、ゲーテの家では石炭を燃やし、それを足つきの鍋の下に置くという当時の最新方法が用いられていた。これも裕福な証拠である。パンを焼いた銅製の型も凝っていて、美しい。ケーキの型かと思わせるが、パン用である。

水汲みの設備のある台所

ゲーテが長生きしたのは男だったから?

ゲーテは7人兄弟だったが、5人が夭折し、成人できたのはゲーテと妹だけだった。当時、子どもが若く死ぬのは珍しくなかった。壁にかかる絵には、女の子は裁縫や家事、男の子は本やペンが描かれており、性別によって教育の内容が違うことがうかがえる。けれどゲーテ家は、父親が男女ともに教育を受けさせることを望み、ゲーテと妹は家庭教師が家に来て学んだ。

母親は17歳の時に、21歳年上の夫と結婚しており、子どもと20歳ほどしか離れていない。子どもとの距離が近く、母親も一緒に授業を受けることもあったという。

ゲーテは母親と親密な関係を築いていた。

ゲーテは男なので大学に入学したが、娘は20歳過ぎで嫁に行った。当時にしては遅いぐらいである。ここにも男女差が見られる。妹は夫と共に、大都会の生家から田舎に引っ越し、メランコリーになる。つまり今でいう鬱である。そして出産の際に27歳で命を落とす。これも当時の女性の典型的な例だろう。ゲーテは82歳まで生きたのだから、妹も何もなければそのぐらい長生きしてもおかしくなかった。

麻のシーツが入れられていたたんす

ゲーテハウスの階段を登ると、正面に立派な木のたんすが二竿置いてある。そこに何が入っていたのだろうか。タンスの中身は、実はシーツである。当時の衛生状態は今とはまったく違う。

今は洗濯機を毎日回す人も少なくないが、当時は手洗いであり、年に3回しか洗濯しなかった。だからシーツも枚数が必要で、たんすには100枚のシーツが収められていた。綿はなく麻の時代で、シーツは高級品であるから100枚所有するのは裕福な証拠。客がくるとわざとたんすの扉を少しあけておき、シーツが大量にある裕福のさまを見せつけたらしい。洗濯にはわざわざよそから専門の人がやって来て、数日がかりで洗い、乾かし、プレスしたそうだ。12枚のシーツをいっぺんにプレスできる機械もゲーテハウスにある。

北欧州では、古くから麻が栽培され、高級なリネンのシーツやテーブルクロスがつくられた。初夏に可憐な淡い花を咲かせる

遊びながら創意工夫

絵画は今のように、楽しみのための芸術ではない。写真や記録がわりであり、職人芸であった。自分や友人、日常の風景、美しい景色、伝説や聖書に出てくる著名なシーンを絵画で表した。

4歳のときに祖母が人形劇の舞台をプレゼントした。これがゲーテの創造の原点といわれる。お話をもとに舞台装置を作り、人形を用意し、観客である友達に披露する。リアクションはすぐ返ってくる。それに合わせてお話を脚色する。創意工夫の実践であった。もちろんもともと頭がよく、物事に集中する性質だったのだろう。それがこの人形劇の小さな舞台によって一層磨かれたのだ。

演劇好きのゲーテは、この家でドイツ初のシェークスピア劇を披露した。16世紀末~17世紀初頭に活躍した英国の劇作家シェークスピアは、当時、ドイツでは今のように知られていなかった。そのころからゲーテはシェークスピアの才能を見抜いていた。

今に通じるもの

ゲーテが生きていた200年以上前の時代を振り返ると、水道はなく、料理も暖房も手間がかかり、洗濯も大仕事で 、衛生感覚も今とまったく違う。性別によって人生は決まり、移動もままならなかった。裕福なゲーテ一家でさえそうなのだから、一般庶民の生活はもっと過酷で不便だっただろう。

しかし現代は素晴らしいのだろうか。100年後に今の私たちの生活をみたとき、なんと不便で野蛮な時代だっただろうと思われるかもしれない。戦争があり、不平等があり、飢餓で亡くなる人が未だにいる。

それでもゲーテの時代の人たちと同じように、時代の制約を受けながら私たちは 一生懸命生きている。木が空に向けて伸びるように、ただ懸命に。それらの日々が積み重なって今があるのだ。ゲーテ一家のために時計マイスターの兄弟が製作したこの世にひとつしかない柱時計が、いまだ時を打っていた。

時代が変わっても、変わらないものがある。ゲーテの時代を知ることは、現代の生活を別の面から見ることに他ならない。

世界で唯一無二の柱時計
Tags: ゲーテドイツ
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田口理穂 / TAGUCHI, Riho

田口理穂 / TAGUCHI, Riho

ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。日本で新聞記者を経て、1996年よりドイツ・ハノーファー在住。ライプニッツ・ハノーファー大学卒業、社会学修士。ドイツの環境政策や経済、社会情勢など幅広く執筆。視察やテレビ番組のコーディネートも。著書に「市民がつくった電力会社 ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命」(大月書店)「なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか」(学芸出版社)、共著に「『お手本の国』のウソ」「ニッポンの評判」(ともに新潮新書)、「コロナ対策 各国リーダーの通信簿」(共著・2021年1月・光文社新書)がある。

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