現地在住のAさんから悲痛な叫びが聞こえてきた。Aさんの住むアパートには、おそらく軍関係者も住んでいるため、無差別銃撃の標的にはならずにすんでいる。だが、アパートからの光景は、毎日のように街のあちこちで何本もの黒煙があがり、夜中の閃光弾やそれに対抗して市民があげる何らかの光や煙が見えるのだという。たった2か月前まで平和だった街はすっかり戦場のようになってしまったと。軍に探知されないよう、Aさんが必死に電話口で語ったことをここで伝えたい。
4月1日未明にヤンゴンでは大型ショッピングセンター3件の大火災が起こったのだが、軍は市民による放火として演出し、CNNなども誘導して取材させている。だが、戒厳令が敷かれる中、夜中に市民が外出して放火できるはずもない。どれも、軍が経営するもので、周りに軍関係者も多く、付近にいるホームレスの仕業だとでっちあげようともしているのだと。最近では、負傷した市民を病院に運ぶ救急隊も相次いで軍に襲撃されるようになった。その様子のごくさわりの部分だけがNHKでも放映された。しかし、本来は救急隊員の一人はそのまま殺されるなど、軍は極めて残虐な行為に出ているというのに、日本のメディアは真実を伝えていないと、Aさんはいつ途絶えるかもしれない電話口で強く訴えた。
(写真は、ミャンマーでの軍によるクーデターに抗議してタイ・バンコクで行われたデモの様子。By ซาร่า สาขาสาทร – Own work, CC BY-SA 4.0)